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経営者の優劣によって会社は潰れるのではない‟目標をもって行動するかしないか”だけ

  

私は数多くの経営のお手伝いをしてきた中で、改善が難しかった上位に入るぐらいの内容のお話をします。最終的にはこの会社の改善は出来なかったのですが、私どもが去った後、聞いた話によると、プロの整理屋に騙され会社は潰されました。今はM&Aが盛んに行われているのですが、特に経営者は事業を営むということは、降りることも辞めることもできないということを知らないといけません。

中途半端な経営をすると後々大変な思いをするのです。何事も行動を起こし、その結果が良いのか悪いのかを判断すればよいのです。

結果を恐れて行動を起こさなかったり、結果を予測して中途半端で行動をしたとしても、何れにせ良い結果は生まないのです。

今から紹介する企業は10年以上の前の話です。

食品加工会社の立て直しを金融機関からの依頼で経営指導を引き受けたのです。

当時の経済環境はリーマンショックで、どこの企業も資金繰りが大変な状況のなかで、依頼された企業はそれ以前からリスケ中(リスケジュール)で常に資金不足だったのです。

金融機関としても経営者から出される事業計画通りに利益が出ない状況であれば、更に格付けが下がり、助ける手立てがなくなるということで、私の所に依頼をしたようなのです。

この企業の売上は最高時には36億、営業利益も1億ぐらいはあったようなのですが、私と出会った時は最高時の半分にも満たない12億の規模に縮小していたのです。

関西地方に本店に拠点を置き、東京に支店を構え5都市の百貨店に出店している企業でした。

社長は7代目で当時は51歳、歴史的にも古く老舗企業でもありましたが、この食品加工会社の経営指導を終わってから7年後に、歴代の社長が残した土地や建物を売却し、さらに数年後、プロの整理屋に騙されて会社は解体されたのです。

当時を振り返って見ると、金融機関から依頼を受けた数日後、食品加工会社の社長様と打ち合わせをさせてもらったのですが、社長とすぐに経営指導の契約をしたわけではないのです。

仮にこの社長の名前を堀出社長としましょう。

堀出社長が私に「統括部長である田畑を説得させないと契約はできない、川原さん悪いが田畑を説得してほしい」と頼まれたのです。

その理由を堀出社長に聞くと、「何時も会議の時は大きな声を出したり、社長の私にまで文句ばかり言ってくる。周りの幹部社員達にも攻撃的で協調性が持てない」という話をされたのです。

早々田畑統括部長の日程を堀出社長に調整してもらい、東京支店で会うことにしたのです。

田畑統括部長と面談する日、東京行きの新幹線に乗って東京に向う道中、「かん」なのでしょうか、何か嫌な胸騒ぎがするのですが、ここではなぜだか分からません。ただこの胸騒ぎは数か月後になって分かってくるのです。

東京に着いた私は東京支社に訪問し、田畑統括部長と面談し話を聞くのですが、印象として大柄で声も太いし顔つきも少し怖い、怒鳴ると堀出社長が言うように、誰も意見が言えなくなるような圧迫感がありました。

 しかし話をしてみると、とても誠実で田畑統括部長なりの考えと会社の現状について話を伺うことができたのです、最後に「私は川原さんと話をしてみて私なりに川原さんのことを理解できました。私はこの会社を退職することを決めました。お願いがあるのですがこの会社を潰さないでほしい」その言葉を最後にして田畑統括部長との面談が終わったのです。

私は堀出社長に田畑統括部長と話の内容を報告し、彼は約束通り翌月に退職していったのです。

つづきは次回にて。

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