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夜8時、誰もいない事務所で通帳を見る社長へ。お金が残らない会社に共通する「社長の位置」

夜8時、誰もいない事務所で通帳を見る社長へ。お金が残らない会社に共通する「社長の位置」

「次の支払日、どうやって資金を調達すればいいんだ…」
「外注費を削るか? 人件費に手を付けるか? それとも自分の役員報酬を減らすか?」

夜8時。社員が全員帰り、静まり返った事務所で一人パソコンに向かい、預金残高と資金繰り表を見つめながら、毎日頭を抱えていませんか。

何を削れば帳尻が合うのか、電卓を何度も叩いては溜息をつく。
売上は決してゼロではない。現場だって休む暇なく忙しく回っている。それなのに、月末が近づくたびに資金の算段に走り回っている――。

「俺はこれだけ体を張り、誰よりも働いているのに、なぜ会社にお金が残らないんだ?」

もしあなたが今、そうやって一人で抱え込んでいるなら、知っていただきたいことがあります。
資金繰りが苦しい本当の原因は、売上不足でも、銀行の渋さでもありません。「社長自身が現場の最強プレーヤーであり続けていること」そのものが、会社のお金を流れ出させているのです。

「俺が現場に出たほうが早い」という罠が、資金繰りを壊す

現場でトラブルが起きたり、進み具合が遅れたりすると、管理職ではなく、まっさきに社長の携帯が鳴る。
指示を出しても期待どおりに動いてくれないから、結局「もういい、俺がやる!」と現場に飛び込んでしまう。

確かに、社長が動けばその場の問題は一発で解決します。お客様からも「さすが社長」と感謝されるでしょう。
しかし、ここに落とし穴があります。

社長は現場で汗を流すことで、「今日も一日、会社のために必死で働いた」と感じ、一瞬だけ資金繰りの不安から目をそらすことができてしまうのです。

その裏で、現場はどうなっているでしょうか。
社長が火消しに追われている間、材料のロスや無駄な残業、根拠のない「どんぶり勘定」が、誰にも確かめられないまま続いています。

社長が現場で汗をかけばかくほど、現場の原価意識は薄れ、粗利益が削られていく。その結果、「資金の算段に走り回らなければならない状態」を、社長自身が作り出してしまっているのです。

現場で利益を残す「3つの柱」

「資金繰りを良くするために、試算表の見方や節税を勉強しよう」
そう考える経営者も多いですが、順番が逆です。

通帳に残るお金を動かしているのは、試算表の数字ではありません。現場の人間が日々どう判断し、どう動くかという「行動」です。
人が動き、利益とお金が残る組織を作るには、次の「3つの柱」が必要です。

① 組織の三要素(共通目標・意思疎通・意欲と動機づけ)

単に売上目標を伝えるのではなく、「今月、粗利益をいくら残さなければならないか」という数字を現場と共有します。社長一人で数字を抱え込まず、この利益が出なければ会社がどうなるかを本音で話し合い、自分たちの仕事が会社のお金を作っているという意識を持ってもらいます。

② 管理職の「5つの責任」

管理職に役職という名前を与えるだけでは意味がありません。次の5つの責任を明確にし、果たしてもらいます。

・業績責任:自部署の粗利益とコストの数字に責任を持つ

・業務改善責任:現場の無駄な時間・材料・工程を自ら減らす

・部下育成責任:自分と同じ判断ができる次の世代を育てる

・報告責任:悪い知らせや原価のずれほど、まっさきに社長へ報告する

・計画実行責任:一度決めた改善を、形だけで終わらせずやり抜く

③ 組織全体を回す役割と権限を、はっきり決める

「一定の範囲までの原価の判断や現場のトラブルは、管理職の責任で決める」「それを超える大きな案件だけを社長に上げる」という線を、はっきり引きます。すべての判断が社長に集まる詰まりをなくし、管理職が自分で考えて現場を回す形を作ります。

外部取締役として入ったメンテナンス会社では

私が外部取締役として入った、従業員40名ほどのメンテナンス会社があります。
この会社では、入って4か月後に社員へ賞与を満額で支給することができ、その年に7年ぶりの黒字(営業利益4,000万円)となりました。翌年の営業利益は6,000万円です。

会社にお金が残るかどうかは、社長がどこに立ち、組織がどう動くかで変わります。
資金繰りの不安から抜け出す第一歩は、どこから資金を調達するか悩むことでも、無理な売上を追うことでもありません。
社長が「現場から降りる」と決めることです。

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