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(最終章)社長の罪、幹部社員を育てなかった! 悲惨な後継者の末路 ~息子思いの母親、 会社も息子もダメにする~

ひとつの会社をここまで長く書いたのは珍しいですが、これを読まれた方は知ってほしいのです。幹部社員が育っていないと、後継者が事業を引き継ぐと苦しい立場に追い込まれるのです。

この会社は後継者も育っていない、幹部社員も育っていない。先代が亡くなったことで、先代の奥さんが専務として社長を支えてはいるものの、家庭の延長線上では経営は上手くいかないのです。たまたま先代が新たな事業を起こした部署が持続的に売上や利益が出ているだけで、これが赤字だったらそくアウトなのです。

会社の器は社長の器でしかないのです。

息子思いの母親、 会社も息子もダメにする

翌日、この田中課長とした話を社長、 田代専務、水木常務を招集して聞いてもらった。皆、終始無言で頷いた。

そして 水木常務がこう言った。

「社長、幹部連中は皆同じ考えだと思うよ。営業もたまにしか行かない、方向性も社長がはっきりしないと。専務も社長をかばう事ばかりで、社員に対しても甘すぎだわ」

「私は社員に対して甘いことないわよ。 私だって彼らにボールを投げているのよ。 かえって来るのはお金ばかりの話じゃない」

会話は繰り返しであった。

「社長、田代専務、いい加減にしろよ。 卵が先か鶏が先かの問題ではないよ。社内統制ができないのはトップの問題だろう。まずは心から反省するんだよ。先に 申し訳なかったって言える人間にそろそろなれよ」

繰り返しの会話に業を煮やした私は、大きな声で罵倒してしまったのである。

そして、毎月の太陽光部門の会議の日がやってきた。この日の会議は違った。

私と話していた田中課長が率先して、改善について具体的な話をしてくれた。(いい雰囲気で話が進む。)

しかし、社長は訊きたいことだけ質問はするものの、肝心の、どういったことをしていきたいか、自分はこうしていきたい、という自主的な姿勢はなかなか見せない。

幹部連中がいら立ちはじめた。

田中課長から「剛はどうしたいの、どこをどう 改善したい?どう思ってんの」と言われ、いつものように、たじろぐ社長。そしてまた、いつものように言い訳を始める社長を一瞥して、

田中課長は「川原さん、これが我社の社長」というひと言を残すと中座したのである。そして、田中課長の後を追うかのように、他の幹部たちも席を立ってしまったのであった。

先代社長の名刺

「社長、なんで言い訳したの。どうして先に感謝の言葉を言えない?時間はかかるが、自分も成長したいから、それまで支えてください、ってなぜ言えないの。 もしここに親父がいたらぶんなぐられてただろう。剛甘えるなって……、 親父はいないんやぞ、社長の味方は田代専務じゃなく、幹部や社員だろう?」

私は社長に1枚の名刺を差し出した。

「この名刺をやるわ。これは初めて先代社長と交換した名刺だ。謹賀新年と打ってあるやろ。先代が再入院する前に交換した名刺や。今渡すために取っておいたわけではないけど、たまたま整理してたら出てきたので、社長のお守りにでも、と思って持ってきた。この親父の名刺を見て、親父の思いを感じろ。」

彼は名刺を手にして号泣した。

「田代専務、水木常務、何とか会社の改善しようと努力してきたが、このような結果になってしまった。これ以上の改善はできないので、今日をもってコンサル終了させてもらいます」

「川原さん……ごめんね」

「田代専務、何かあったら愚痴だけは聞くわ」

「俺はどうしたらいいの、話し相手いなくなっちゃうよ」

「常務は大丈夫、まずは社長をメンタル面で支えることが一番大事だよ。コンサルが終わったからといって、関係は終わりじゃない。愚痴や悩みがあればいつでも連絡しておいでよ。改善はできないけど、聞くことはできるからさ」

私はこの会議をもって、あいうえ工業株式会社のコンサルに終止符を打ったのである。

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