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資金繰りが苦しいとき、社長が最初にやるべきこと――お金を借りる前に、止めるべきものがある

資金繰りが苦しいとき、社長が最初にやるべきこと――お金を借りる前に、止めるべきものがある

「どこか、お金を貸してくれるところはないか」
資金繰りが苦しくなった社長が、まず考えるのはこれです。気持ちはよく分かります。しかし、借りて返し、また別のところで借りて返す。この繰り返しで、立て直しがかえって遠のいた会社を、私は何社も見てきました。

資金繰りが苦しいとき、最初にやるべきことは、お金が出ていく「根本」を止めることです。支払いを待ってもらう、入金を早めてもらうといった手当ても必要ですが、それはあくまで2番目です。

最初に見るのは「変動損益計算書」

相談に来られた社長に、私がまずお願いするのは、損益計算書や試算表を「変動損益計算書」に組み替えることです。

普段見ている損益計算書は、税理士が税金を計算するために作るものです。経営の判断に使うには向いていません。売上から、材料費や外注費、経費関係など、売上に直接かかる費用(変動費)を引くと、会社に本当に残る粗利益が見えてきます。ここで初めて、どこでお金が消えているのかが分かります。

私は、勘定科目を一つずつ見るのではなく、勘定科目の組み合わせで、会社の問題を特定していきます。たとえば、外注費が増えているのに、直接労務費や残業も同時に増えていないか。材料費が増えているのに、売上は伸びていないのではないか。数字が同時に動いているところには、必ず現場の問題が隠れています。

「材料費が売上の何%」で終わらせない

変動損益計算書を見ると、多くの社長も税理士も「材料費が売上の○%で多いですね」「外注費は少ないですね」と、比率の話をします。私の見方はまったく違います。

無駄に買った材料、倉庫に眠っている在庫、増え続ける外注費。こうした費用には、必ず人が絡んでいます。事前に打ち合わせをしたのか。計画を立てたのか。部署同士で協力したのか。私が見るのはそこです。

原価の問題は、数字の問題ではなく、管理職の責任の問題です。ここに手をつけない限り、どれだけお金を借りても、また同じところから出ていきます。

事例1:営業が勝手に受注し、現場が回らなくなった建設会社

ある建設会社では、営業が現場の状況を考えずに仕事を受けてきて、そのまま設計と工事部に回していました。工期が短いので、当然、残業が増え、外注も増えます。打ち合わせが細かくできないまま進むので、ミスが出る。余分な材料を買ってしまい、倉庫に眠る。そして資金繰りが苦しくなる。

原因をたどると、部署の責任者同士の打ち合わせができていませんでした。会議はなあなあで、指摘し合うのが嫌だから、誰も何も言わない。そんな状態が何年も続き、社長はある銀行から借りては返し、別の銀行から借りてまた返す。その繰り返しで、赤字は相当なものになっていました。

私がまずやったのは、交通整理です。それぞれに言い分はあります。しかし、変動損益計算書で会社が赤字であることを示し、「このままでは会社は潰れる」ということを全員に理解してもらいました。そのうえで、どう協力すればいいのかを話し合い、挙がった問題点を一つずつつぶしていきました。

その間も資金繰りは苦しいままですから、材料の仕入れ先や外注先にお願いして支払いを待ってもらい、元請けにお願いして入金を早めてもらいました。これは同時に進めます。ただし、順番はあくまで2番目です。根本を止めずに支払いを先延ばししても、時間を買うだけで終わってしまいます。

事例2:削れるところはもう削った、小さな製造会社

もう一社は、社員が少なく、管理職もいない製造会社です。材料も外注も、見直せるところはすでに見直していました。削る余地がない会社は、売上を上げるしかありません。

ところが社長は「得意先も同じ業界も、どこも売上が上がらない」と言います。私は「今の地域がだめなら、ほかの地域もあるでしょう。製造業全体がだめなのではなく、儲かっている会社と儲かっていない会社があるだけです」とお話ししました。打った手は2つです。

元請けに、会社の現状を正直に話す

まず、社長に元請けへ現状を話しに行ってもらいました。しかし2回、3回と通っても「うちも苦しい」と言われ、仕事にはつながりませんでした。そこで私も一緒に訪問し、今の資金繰りと会社の状況を包み隠さずお伝えしました。すると元請けの方が「そこまでの状況だったのか」と初めて分かってくださり、ほかに回していた仕事を、この会社に回してくれるようになりました。

手の空いた社員にも、営業に加わってもらう

同時に、仕事が減って手が空いている社員に会社の現状を説明し、協力をお願いしました。仕事がありそうな会社を調べて一覧にまとめる、メールを送る、電話で問い合わせる。こうした地道な動きが受注につながり、今では忙しすぎるほどの状態になっています。

お金を借りる前に、まず「根本」を見る

2つの会社に共通しているのは、お金の問題の裏に、必ず人と組織の問題があったことです。打ち合わせをしない、協力しない、現状を伝えない。ここを変えたから、お金が残る会社に変わりました。

資金繰りが苦しいときこそ、借りる先を探す前に、お金が出ていく根本を見てください。

※会社が特定されないよう、一部の設定を変えています。

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