BLOG ブログ

社長の罪、幹部社員を育てなかった! 悲惨な後継者の末路 ~真剣勝負、毎日がトラブル~

真剣勝負、続くトラブルこれを何とか解決するために色々と動く。ここからが勝負である。

ある日、田代専務から「川原さん、中途採用者の入社面接をするのでオブザーバーとして同席してほしい」と連絡があった。中途採用者のほとんどは、社長と 同年代の若者たちであるが、技術には長けている。面接時にはとても素直な若者らだったが、入社させた彼らが数カ月も経つと豹変したようになるのである。

いつも通り、毎月の幹部社員の面談を行うも話は平行線であった。この平行線のまま、半年も年月が経っていた。試行錯誤で色々と趣向を変えた内容の面談にしてみたりもしたのだが、幹部社員の意識は変わらない。その日もいつものように幹部たちを何とか意識付けしようと面談を設定し、3時間ばかり早く事務所についた。事務所の駐車場にいつものように車を停めると、事務所の入り口前に設置している自動販 売機の前に社長と見慣れぬ人間が何やら話をしており、戯たわむれているような様子が伺えた。

しかし、よく見ていると、その見慣れぬ社員たちが社長のズボンのポケットに手をつっこみ、「社長、ジュースおごってくださいよ」などと言っている。それはたかり行為であった。

以前中途採用した若者たちだった。中途採用者らは私の顔を見ると、「やばい」という表情を浮かべ、倉庫のほうに姿を消した。数カ月前に採用したばかりの人間がなぜ、会社のトップである社長のポケットに手を突っ込んで小銭をあさっているのか。

驚愕した私は事務所にいた社員を捕まえて話を聞いた。

「彼らは高畑課長のチームなのだが、高畑課長と同等以上の技術を持っているので、中途採用者に対して文句を言うことができないのではないか……」、また「そういえば、高畑課長が中途採用者に注意しているところを見たことがない。そのせいで彼らがなんでもやっていいと勘違いしているのではないか」色々な社員に聞いたが、みな同じ答えであった。

私は高畑課長が社に帰るのを待って、現状を問いただすことにした。 「高畑課長、今日中途採用者たちが社長のズボンのポケットの中に手を突っ込んで、ジュースおごってくれ、なんて言って、タカリをしてたよ。……どうしてこうなるのよ」

「……俺、見てないし知らん」

「知らんやない、きちんと指導しようよ」

「………」

答えない高畑課長と話をしていても、らちがあかないため、私は常務にこの1 件について話し、彼から注意してもらうことにした。このような実態を常務だけではなく、 田代専務にも話をした。田代専務は驚いてはいたものの、比較的穏やかであった。

私はこの現状を踏まえて、社長に2部門を見ることをやめ、一般電気部門は高杉部長に任せ、社長は幹部が言っているように太陽光の元請や協力会社の営業などに注力したほうがいいのではないかと助言した。

「川原さん、私はそう思っているのだけどね……」 思っているんだけどね、それで会話は 終わってしまった。

私は社長を呼び出し、田代専務にしたように私の意見を述べた。

「営業よりも現場にいかないと、人工がたらない」

「人工がたらないってどういうこと?」

「社員の人、結構有給や代休をとるから、 人工が足らないんだよ」

「社員数は十分いるでしょう。有給や代休をとるっていっても、仕事に支障をきたさない程度の話でしょう。常務だっていろんな課にいってフォローしてくれてるじゃない」

「分かっているけど、営業に行けば行ったで、幹部社員になぜ現場に出ないんだと言われるし……」 私はこの時点であきれてしまい、ものも言えない状態であった。

ひずみの発覚

1年が過ぎ、決算を迎えた。

太陽光部門は幹部社員及び社員に問題はあるにせよ、利益が出ている。また嬉しいことに一 般電気部門も少ないながら9百万ばかり、久しぶりの黒字だった。

高杉部長をはじめその部署の社員は皆顔がほころんだ。 太陽光部門と比較され、あいうえ工業会社のお荷物とされていることを肌で感じていたのだろう。

特に高杉部長の嬉し泣きの姿は忘れることができない。決算が過ぎたあたりで、私は社長と田代専務に再度提案をした。

「社長は相も変わらず、一般電気部門にも太陽光部門にも顔を出すが、営業する わけでもなく現場にいって社員を指導するというわけでもない。どうだろう、一 般電気部門は高杉部長を役員にして、社長は太陽光部門の立て直しに専念するべきじゃないのか」

「剛、川原さんが言うように、そうしてみたらどうなの」

「僕は一般電気部門もみていきたい」

「そういうけど、実質は何もしてないでしょう」

社長は苦い顔をして口を閉じた。重たい空気が流れ、発言もなくなり、打ち合わせは終了した。 決算から4カ月後、いつもように太陽光部門に足を運ぶ。

事務所から見える打ち合わせ場所で田代専務と社員が何やら話をしていた。終わったようなので田代専務に聞くと、「手当を見直してほしいと言われたから、見直すことにしたの」と言うのだ。

「全員の手当を見直すとなるとそれは大変でしょうね」と私がいうと、

「その子の手当だけを見直すだけなのよ」という答えが返ってきた。 「えっ !?それはおかしいですよね。その子の手当だけを変更したら、他の社員全ての手当を見直さないといけないでしょう」

「いや、その子はね、母子家庭でお金が少ないの」

「でも、就業規則にちゃんとあるでしょう?ひょっとして田代専務、いろんな社員から手当がほしいとか、規定を変えてほしいとか、色々言われる度に、個人ごとに規則やルールを変えてるの?」

「場合によってはね……、だって、可哀 そうでしょう?」 高杉部長や各課長の言葉を思い出した。 専務がこの会社をダメにしている、というあの言葉を。 私はこの事実を知らないまま、この1 年数カ月もの間、幹部社員や社員たちに、頭を悩ませ、手を替え品を替え、色々な話をし続けていたのだ。

この続きの説明は変わらない経営者の説明をします。

CONTACT
お問い合わせ

株式会社マネジメントオフィス・Kについての
ご意見やご質問は
お気軽に以下のフォームより
お問い合わせください。