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社長の罪、幹部社員を育てなかった! 悲惨な後継者の末路~白紙のアンケート~

弊社ではコンサルを始める前に、会社の実態調査を行うことにしている。基本はアンケート調査と社員面談である。アンケートは管理者評価、社風調査、組織実態調査の3枚をワンセットにしたものを人数分作成し、各個人に配布する。

そのアンケートをもとに会社の問題点の抽出を行い、炙り出された問題の改善点を探るため、社員面談でさらに問題の根を掘り下げる方法をとるのだが、あいうえ工業株式会社では、配った40人分のアンケートのうち、返ってきたものは 30枚、そしてそのほとんどが白紙であった。

そんな状態なので、とにかく記入のあったアンケートをもとに日程を組み、社員面談を敢行することにした。あいうえ工業株式会社には一般電気部門と、太陽 光部門とがあるが、社員数は一般電気部門 10名、太陽光部門 30名であり、一般電気部門は1日に3名から4名と面談することができたが、太陽光部門に関しては、朝早く夜遅い勤務態系のため、1日 1名と面談できるかどうかで、まず満足に面談時間を確保することすら困難な状態にあった。

アンケートを回収してから2週間後、一般電気部門の面談を実施した。

この一般電気部門は比較的社員たちがおとなしく 、また特にこの部署の長である高杉部長は社内改善に前向きであった。「川原さん、一般電気は部門としては赤字だけど、社員が自立した行動をとることができさえすれば、利益は出るはずなんだよね。

先代社長が立ち上げた部署だけに、何とか利益を出していきたいんだよ。潰すわけにはいかない」「高杉部長は赤字の原因は分かってみえるの?」「根本の原因は分からないけど、自分自身が営業やりながら現場に行ったり、夜中の工事があると自分しかできないところに問題があると思う。それと、前から社長には、自分がこんな状況だから、代わりに営業を受け持ってくれないか訊いてるんだけど、答えがないんだよ。昔は社長をよく飲みにつれていったんだ。

会社をどうしたいのか、どのような 方向性でいきたいのか、飲んでいるときはよく話をするが、会社にくると無口になる」

「高杉部長、それは無理だわ。高校卒業して数年で社長になって、それ会社はどうだの、やれどの方向性にいきたいだの、 社内でおいそれと口に出せるわけがないでしょう」

「確かにそうなんだけどね……」

実は、高杉部長から始まった社員面談は、そのほとんどが部下が育たないことと、社長の話なのだった。

「高杉部長、そういえばこの前、太陽光事業部の事務所にいったんだよ。何か聞いている?」

「ああ、先代社長の髭の件でしょう。あれは高畑が悪いわ」

「高畑?」

「工事部4課の課長。彼の部下から聞いた話だけど、社内の雰囲気が悪いので、 その雰囲気を変えるためにわざと髭を描いたみたい。太陽光事業部って人数多いけど、課長が先代の肖像画に落書きするぐらいだから、相当問題あるよね。 一般電気部門も問題はあるけど、太陽光部門は相当問題あるよ。太陽光はね一 般電気と違って、先代社長が赤字経営を打破するためにやり始めたものだからね。 はじめは赤字だったけど2年目ぐらいで利益が出てね。責任者を1人に決めずに、 幹部社員の3人を責任者にして太陽光を任せたの。太陽光設置工事には沢山の元請がいるから、仕事がなくならない限り黒字でね。先代社長が亡くなってからやりたい放題。事務所内の雰囲気が悪いもんだから、課長自ら先代社長の肖像画に落書きするって、普通の会社はありえないでしょう。そんな課長が部下から慕われるわけがないよ」

高杉部長の話を聞いているうちに、先代社長が管理者の教育契約をしようとしたことを思い出した。その時、当時の幹部社員は全員 30代だった

「あとは、太陽光部門の問題は常務の水木だね。彼は3人の幹部社員を抑えるために入社したんだけど、元々の業種が畑違いの人で、仕事は幹部社員たちから教えてもらってるわけだから、常務としての求心力もなければ、言うことを聞かせられるような力もないよ。 それと、僕が一番の問題だと思っているのは、社長と専務だね」

「え、社長と田代専務が問題なの?」

「川原さん、僕の個人的な考えだけを聞いてもいけないからさ、これから一般の他の社員の面談や、太陽光の社員の面談もするんでしょう?そいつらから聞くといいよ」

高杉部長との面談をした後、2日をかけて一般電気部門の残り9名の社員との 面談を行った。 一般電機部門全員の面談が終わった頃、社員が何の話しをしたのかを聞きたかったのか、

「川原さん、どうでした?何か 聞けましたか?」と、田代専務が声をかけてきた。

「そうですね、他愛のない話ばかりで、核心になりそうな話は聞けなかったです。次、太陽光部門の面談では色々な話が聞けるかもしれません」 私はその時、高杉部長の「社長と田代 専務に問題がある」というその言葉が胸に引っかかり、田代専務との会話をあまり弾ませる気になれなかったことを記憶している。

つづく、太陽光部門事業部の面談

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