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知らないと会社が潰れる、“経営の原理”を経営者が知らない時代

あなたは「経営」を知っているだろうか。

この問いに、即答できる経営者は少ない。
多くの中小企業の経営者は、経営という言葉の意味を、売上や利益、人件費の調整、資金繰りといった“表面的な数字の操作”だと考えている。
いや、そう思い込まされてきたと言った方が正しいかもしれません。

ネットやビジネス書を開けば、経営とはこう説明されています。

「企業や組織が目的を達成するために、計画的に意思決定を行い、資源を管理・運用していく活動全般を指します。具体的には、目標設定、戦略立案、組織運営、人材育成、業績管理など、組織の存続と発展に必要なあらゆる活動が含まれます」

「単に事業を運営するだけでなく、組織の目標を明確にし、それを達成するための戦略を立て、実行し、結果を評価・改善していく継続的なプロセスです」

――たしかに、間違ってはいません。
だが、それでもまだ本質には届いていないのです。

言葉として正しくても、それでは「人が動かない」。
制度としては整っていても、理念が通っていなければ「会社は強くならない」。
評価も戦略も計画も、それを動かす経営者ご本人の“本気”と“信念”がなければ、ただの仕組みで終わるのです。

経営をするということは何か
それは、経営者本人が「人」と「お金」という限られた資源を投資し、価値を創造すること
そして、自らの理念を軸に、未来を描き、その未来に人を巻き込んでいくことなのです。

つまり、経営とは「仕組みを運営すること」ではなく、
誰も見たことのない未来”を、自分の本気と信念を持って創りに行く行為なのです。

そして今の時代、経営の原理を知らないままに会社を回そうとすることは、地図を持たずに荒れた山に入っていくようなものなのです。

最初は道なき道でも、なんとか進める。経験と勘で踏み固めることもできる。
だが道が分かれ、霧が出て、谷が現れたとき、進むべき方向を誤れば、全員を連れて谷底へと転がり落ちていく。

地図がないということは、原理がわからないということなのです。
原理がなければ、判断に軸が持てない。軸がなければ、組織は迷走する。
経営者自身が“経営の原理”を知らなければ、会社のどこかで、いつか必ず“崩れ”が来るのです。

だからこそ、いま改めて問いたいのです。

あなたは「経営」をしていますか? それとも「経営っぽいこと」をしているだけではないですか?

経営の原理を知らない会社に起きていること

経営とは何か?と聞かれて、「うちは現場主義だ」「人が大事だ」「数字がすべてだ」と答える経営者がいます。
あるいは、「人・モノ・カネをどう活かすかだ」「PDCAを回せばうまくいく」と語る人もいるだろう。

だが、それらはあくまで“方針”や“手法”であって、“経営そのもの”ではないのです。

たとえば――
・毎月の売上目標を立てる
・経費を削って利益を出す
・評価制度を作って人を動かす
・会議で進捗を詰める

これらはどれも“経営っぽいこと”には違いない。だが、その「っぽさ」に頼っているうちは、会社の土台は揺らいだままなのです。
経営の原理とは、「人が動く理由をつくること」であり、「組織に理念を浸透させること」であり、「価値を生む仕組みを築き、それを守り続けること」なのです。

そして、もっと本質的に言えば――
経営とは、経営者自身の“生き方”によって、会社という組織がかたちづくられていくということなのです。

経営者がどんな姿勢で日々の仕事に向き合っているか。
社員の話にどれだけ耳を傾けているか。
どんな決断をし、何を大事にしているか――そのすべてが、社員に見られている。無意識のうちに、背中を見られているです。

誠実な社長のもとでは、誠実な文化が育つ。
人を軽んじる社長のもとでは、人が会社を軽んじるようになる。
経営者の“在り方”こそが、制度や戦略以上に会社の命運を握っているのです。

あるクライアント企業で、まさにそれを象徴するような出来事があったことの話をします。

この会社との出会いは、「売上も利益も出ず、組織がバラバラになっている。外部の視点で見てほしい」という社長からの依頼だったのです。
まずは1か月かけて、現場の社員や幹部と面談を重ねながら、会社の実態を探っていったのです。

社員たちは、「幹部が現場の声を聞いてくれない」「責任を取らない」と不満を抱えている。

一方で、幹部たちは「そもそも社長が人の話を聞かない」「言うだけ言って動かない」と、社長への不信を語る。
私は最初、「これはどっちもどっちだな」と思っていましたが、いざ組織改善に向けて会議を始めてみると、核心が見えてきたのです。

社長自身が、まったくと言っていいほど“学ぼう”としていない。
部下の話も聞かない、メモも取らない、真剣に向き合おうとしない。
その姿勢を幹部たちはずっと見ていたのです。だから、彼らも心を閉ざし始めていたのです。

そして、ある会議の日――
空気が明らかに違っていたのです。

社長も幹部も、落ち着かない様子だったのです。
話を聞くと、会社の中核を担っていた優秀な社員が来月退職するというのです。

ただの退職ではないのです。
同業他社からの引き抜き。

その社員が抜ければ、業務は止まり、売上は落ち、資金も回らなくなる。
まさに「会社が傾く引き金」になりかねない退職だったのです。

幹部社員たちは、この事態を何年も前から社長に伝えてきたのです。
「あの社員が不満を抱えている」
「このままでは辞めてしまう」
「現場の声にもっと耳を傾けてほしい」

だが社長は、忠告を聞こうとせず、現実から目をそらし続けていたのです。
今になってようやく、その“未来の警告”が、目の前に現実として立ち上がってきたのです。

慌てふためく社長の姿に、幹部のひとりは静かにこう呟いたのです。
「前からずっと言ってきたんだけどな……。社長が聞く耳を持っていれば、こうはならなかった」

この出来事は、ただの「優秀な社員が辞めた話」ではないのです。
経営者が、自らの在り方と向き合わなかった“代償”の物語なのだです。

経営の原理を知るとは、自分を知ること

経営の原理に立ち返るというのは、言い換えれば「自分の経営を問い直すこと」でもあるのです。
これは単なる技術論や戦略論とは違うのです。経営者自身の内面、価値観、覚悟と向き合う作業なのです。

たとえば、自分にこう問いかけてみてほしいのです。
「私は何のためにこの会社をやっているのか?」
この問いに、明確な答えがないまま会社を動かしている経営者は少なくないのです。
だが、経営は感情のない機械的な作業ではないのです。
“目的”が曖昧なまま走っても、組織は迷子になるだけなのです。

次に、「私は社員に何を見せてきたのか?」という問いです。
社員は経営者の背中を見て育つ。言葉ではいくら理想を語っても、日々の行動が伴わなければ、社員は疑念を抱き始めるのです。
それはやがて組織全体の信頼の欠如へとつながり、文化を腐らせる原因になるのです。

さらに、「私は本当に会社の文化をつくれているのか?」
文化とは自然発生的にできるものではなく、経営者の意識的な働きかけの結果なのです。
理念の浸透や価値観の共有に、日々真剣に取り組むことなくして、強い組織文化は生まれません。

そして最後に、「私は経営という仕事をしているのか?」という厳しい問いです。
日々の忙しさに追われ、目先の数字やトラブル対応に振り回されるだけで、根本的な経営の本質に立ち戻れていない経営者は多い。前に進まない不満を周りのせいにし、制度や仕組みばかりを作って満足し、「やっている感」に浸っているうちは、真の経営者にはなれません。

こうした問いを避けて通る限り、会社は決して強くはならないのです。
むしろ、表面だけを取り繕う経営が続くことで、社員の心は離れていき、組織は空洞化していくのです。

経営の原理を知るとは、まず自分を知り、正面から向き合うことにほかならないのです。経営者自身が変わらなければ、会社も変わらない。
だからこそ、最も大切な経営のスタート地点は、自分自身への問いかけにあるのです。

経営者よ、“経営”を学び直せ

「経営はセンスだ」「現場で学べばいい」「うちは小さい会社だから」──
そんな言葉に甘えて、“経営の本質”から目を背けてきた経営者は多いです。
だが、もう一度立ち止まって考えてほしいのです。
経営には、確かな原理が存在するのです。

人が動く理由には必ず構造があり、理念が組織を動かす順序があるのです。
信頼を育てる言葉の力があり、文化を築くリーダーの背中がある。
これは偶然でも、単なる感覚論でもないのです。
学び、理解し、実践しなければ身につかない、明確な原理なのです。

「経営はセンスだ」と言うのは、学びを放棄した言い訳にすぎません。
センスとは経験を通じて培われるものであり、その経験は正しい原理を知り、繰り返し考え行動することからしか生まれないのです。
現場に身を置くだけで自然に身につくものではありません。

また、「うちは小さい会社だから」と考えてしまうのも誤りだ。
会社の規模は関係ない。経営の原理は、1人の経営者が人を動かし、価値を生み、未来をつくるすべての会社に当てはまる普遍的な真実なのです。

あなたが変われば、会社は変わる。
あなたの言葉、あなたの行動、あなたの決断が組織の命運を左右するのです。
だからこそ、あなた自身が経営を“知る”こと、学び直すことが最優先なのです。

学ぶとは、謙虚になること。
今までのやり方や考え方に疑問を持ち、新たな視点で自分の経営を見つめ直すことです。
時には厳しい現実と向き合い、変革を恐れずに一歩を踏み出すことです。

経営の原理を理解し、それを日々の行動に落とし込んだとき、初めてあなたの会社は持続的に成長し、社員が誇りを持って働ける組織になるのです。
迷いの中でも、あなたが指し示す未来に、社員はついてくるだろう。

だから今、もう一度問いたい。
あなたは、本当に“経営”をしているのか?
経営者としての覚悟を持ち、本質に向き合う覚悟があるか。

経営とは単なる作業ではありません。
それはあなた自身が創る「未来」なのです。
経営を学び直し、経営者として真に立つこと。
それこそが、あなたと会社の明日を切り開く唯一の道なのです。

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