コロナ禍で苦しい会社、逆にコロナ禍需要によって潤っている会社もあるでしょう。
どこの経営者もアフターコロナにたどり着くために、現時点での売上確保、コスト削減、資金繰りなどを喫緊の課題に対処している事とおもいます。
しかし、残念ながら多くの経営者は、過去に苦しい状況を学んだのに、なぜ活かされないのか・・・
今回、今までのブログを読んだ人が、実例を教えてほしいという声が多数あったので印象に残る会社を紹介します。
今から話す会社は東海地方を主に、全国展開をしている飲食店（肉関係）の会社で、上場をしている会社の話です。
この会社はコロナ禍でもいち早くテイクアウトを取り入れたり、コロナ対策を徹底し、店舗経営としては機敏な対応で売上を落とすことなく今に至っているのです。
仮にこの経営者をA社長としましょう。
A社長にお会いしたのが17年前、日本全国に狂牛病で駆け回っていた際、当時、肉関係のお仕事をしている会社が嵐のごとく倒産している中、果敢に立ち向かった飲食店A社長のお話をします。
A社長との出会いは、どんな内容のセミナーだったか忘れましたが、そのセミナーに参加していたのがA社長でした。
セミナーが終わり、個別面談でA社長の話を聞くことになりました。
A社長は重い口を開け「この狂牛病で厳しい状況におかれています。銀行の貸し渋りにより、８０の店舗を40店舗減らさなくてはいけない。しかし、減らしてしまったら、雇用している社員や店舗を出店したさいの資金の返済、考えれば考えるほど不安に襲われ、何かヒントはないかと思いセミナーに参加しました」
更に続けてA社長は「毎日毎日、図書館に通い、机の上に経営にかかわる参考書を積上げ、隅から隅まで読み漁っても答えとなる回答は見つからず、不安を払拭するために犬を飼い、犬の名前をラッキーと名付け、毎朝6時に犬のラッキーと散歩しながら、ラッキーラッキーとつぶやきながら散歩までしている」と言うのです。
明日にでも倒産しそうな話でしたが、このA社長がどうやってこの経営難を乗り切ったのかが発想の転換と経営判断の早さでした。
セミナーに参加したA社長、当時私が勤めていた経営者だけが参加する研修に参加してもらったのです。
研修終了後、A社長から「川原さん、この研修はとても良かったありがとう。川原さんに質問するが、3店舗までは店舗運営は簡単だが、4店舗からは難しい、なぜだと思う・・・」と質問され、何も答えることが出来ずにいると、A社長は「3店舗の運営は簡単といったのは、私、妻、息子であれば意思疎通が取れる。
しかし4店舗からは他人さまだ、マニュアルを作ってその通りに運営し80店舗まで来たが、この研修で分かったことは、私の創業した精神や理念が失われていることに気づいた。 弊社の店舗は一店舗ごとに店長は正社員で後はパートアルバイトで構成しているんだよ。マニュアル通りで店舗運営を店長に任せていたら駄目だ、店長は自分の城という意識を持たないといけない。売上、地域、お客様・・・
どうやって地域に根ざし、どうやったらお客様に喜んでもらえるか、それを知恵を出して日々変化をさせるのが店長であり、それが店舗運営だ・・・」と話されたのです。
その後、店長80名を対象に2泊3日の研修を4回に渡って研修をすることになるのですが、A社長は4回の研修（2泊3日）を続けて参加し、店長に対して今まで本音が言えなかったことを本音で語り続けたのです。
社長の創業した精神、店長にしてもらいたいこと、現状の危機・・・・怒涛の研修だったことは今でも覚えています。
研修が終わった後の店長の行動は研修前と比べたら見違えたことは言うまでもありません。
今までお客様が入店するまで待つということはせず、売上対策、コスト削減、パート及びアルバイトへの育成、お客様が来ない時間があれば、チラシ手配り・・・・
トライ&エラーの繰り返しをしながら、個々の店舗が収益確保を目指し、最終的には金融機関からの貸しはがしはなく、逆に経営姿勢が評価され、経営難を乗り越えたのです。今ではその店舗は100店舗以上で上場を果たしたのです。
一番大事なことは、一人で悩むより、幹部社員や従業員達に今の状況を共有化し、共に知恵を出し、どうしたら売上があげれるのか、どのようにキャッシュフローがよくなるのかなど、前に進む事が大切なのです。
仮に幹部社員が動かないと嘆いている経営者がいるのであれば、辞めてしまっては困るという思いから本音でいえないか、或いは本気で語っていないかのどちらではないでしょうか。
経営者は辞めることも退くことも出来ないのです。経営者は一人ぼっちではないのですから。次のブログで書く会社は自動車製造業の話をします。力がある営業マンが退社しても会社は潰れないという内容でお話をします。
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