先週、経営コンサルとして初めて経験させていただきました、お寺のご住職の方々に対して組織成長戦略の勉強会をしてきたのです。(宗派によって呼び方が違いますが、ここではご住職とさせていただきます)
普段、勉強会を開始する際には、自己紹介をしてそのまま勉強会の内容の話をするのですが、お寺のご住職とあってか、短いお経?を読まれてからの開始でした。袈裟を着ているご住職数十名を前に、独特の雰囲気にのみこまれそうでしたが組織成長戦略の話をさせていただきました。
疑問に思われているのかもしれませんが、お寺のご住職の方々に、なぜ組織成長戦略の話をしたのかお分かりですか?
私もはじめて知りましたが、神社仏閣は日本国内には約16万社(寺院7万7000・神社8万1000)もあり、この数は郵便局で2万4000、学校3万5000、コンビニは5万9000よりも多いのです。
その中で言われているのが、2040年までには神社仏閣が約4割から5割近くが廃業になるといわれ、原因は少子高齢化が進み、若者は地方から都市へと移動し、地域から人がいなくなれば檀家で支えられている寺院などの経営は厳しくなるのです。
しかし昨今は追い風が吹いていたのです。その背景には多死社会です。厚生労働省「人口動態統計」によれば、2007年以降、死亡数が出生数を上回る状態が続いており、2005年の死者数はおよそ108万人だったのが、10年後の2019年には138万人になっているのです。
コロナ禍でも経済的には比較的安定的に成長してきた仏教界にとって、突如の暗転となってしまい、墓じまいの増加や死生観の変化などで個々の寺院を取り巻く状況の厳しさは増しており、一般的な寺院のメイン収入は葬儀や法事でしたが、コロナパンデミックによって、昨年来から「3密」状態になりかねない法事は減り、葬儀も「家族葬」や「1日葬」、あるいは火葬のみの「直葬」になるケースが劇的に増え、さらに花まつりやお彼岸、お盆などの年中仏教行事も、多くの寺院が規模縮小や自粛に追い込まれているのです。
そういった中での組織成長戦略という話でしたが、神社仏閣の世界と普通の企業の世界とでは大きくちがい、私に依頼されたご住職の話を聞くと、若いご住職の危機感のなさ、報告、連絡、相談がない、PDCAサイクルが回らない、ミスや檀家への連絡事項の忘れなど、どのよう事が起きても「大きな心で許す」とういった風潮があるので、このままでは檀家が離れ、お寺の経営が立ち行かないのではないかという焦りと不安から勉強会の依頼でした。
この話は、神社仏閣だけの話ではないのですが、知恵を出し努力したものが勝ちだということは言うまでもありません。 合唱