前回のブログから
私は早速、営業部の従業員と再度営業について話をしました。
この営業部、年配の営業マンを入れて4名、そのうち3名は得意先というものがなく、ルート営業しか、したことがないものばかりでした。
営業会議に参加しても、ルート営業先の状況が厳しいとか、仕事は頂けなかったとか、ネガティブな報告ばかりで、新たな営業先を開拓しようとか、新たな商品開発を試みようという話はなく、一応営業会議をやっていますといった会議なのです。
しかも最悪なのが、年配営業マンが会社全体の売上の半分を占めているという事なのです。会議も参加しない、後輩の指導はしない、彼の行動は誰もしらない、会社に来たと思ったら経費精算だけにくるのです。
その経費は毎月50万~60万使ってくるのです。
経費の中身は得意先との接待営業で使う経費なのです。
車の部品を作っていると言っても特殊なものを作っている訳でもなく、ネジ1個、元請に納める金額が1円以下(正確には0.04円)なのですから、1万個作ろうが10万個作ろうが赤字なのです。
また、彼の給料は高く月50万、接待交際費に使う経費を入れたら月100万は飛んでいくのです。
※自動車業界の製造業は、特殊なものを制作や加工が出来るのであれば値段のいい単価で取引してくれますが、大量につくられるものについては、1個何銭という単価なのです。
また、下請けは元請に決算書を提出させられるため、決算書も自社用と元請先ようと二つ作られている会社もあるのです。なぜ元請用に決算書があるのか、それは利益をだしていると調整させられるからです。
これを止めなければなりません。私はこの年配営業マンと腹を割って話をしました。
彼の受注してくる売上と接待交際費、その他もろもろの数字を出して説明しました。
私の話を真剣に聞いてくれるのですが、彼は「私は接待交際費を使った仕事しかしたことがない、経費を使わずどうやって、こんな小さな会社に仕事をもらってくるんだ」と反論してきました。
反論ばかり言う年配営業マンと話をして4時間たっていました。
疲れもあったのでしょう。私が「先代や先輩、当然、あなたも含めて作ってきた会社が明日にでも倒産するのがいいのなら、このまま続けたらいいよ。その代わり、数ヶ月後にはこの会社は倒産するから、それでもいいの」と言い放ち、彼は少し考え「わかりました。極力経費は使わないようにしてみます」
この言葉を聞いて話し合いは終わったのです。
二週間後、B社長から連絡が入りました。その内容は、年配営業マンが経費精算時に60万の経費を請求してきており、なんとその請求の中身がアジア出張費3人分となっていたのです。私はB社長に叱りましたか?と聞くと売上を上げている弱みを握られているのか、叱ることはせず、愚痴を言って終わりだったようなのです。
私は、B社長に「社長いい加減にしてくださいよ。なぜ叱らないのか・・・・」と問い詰めても何も言わないのです。「社長、このままいけば資金繰りが数カ月後にはショートになります。金融機関からもお金を借りることは出来ないでしょう。彼を辞めてもらう方法しかありません」
そのような話をしたらB社長は「彼を辞めてもらっては売上が落ちます、困ります」と一点張りなのです。
辞めさせる辞めさせないの繰り返しなので「会社をとるか、その営業マンをとるかどっちかしてください」と迫ったのです。
時間はかかりましたが、B社長は年配営業マンの退社することを了承したのです。
私は早速、営業部にこの話を行い、今後の方針や対策などを説明し年配営業マンが退社した後、彼の繋がっている元請の担当者を振り分けておきました。
そして、年配営業マンに時間をとってもらい、私は彼に「今回人事異動をしてもらいます。社長の許可を得ていますので、引継ぎをして速やかに異動ねがいます」と告げたのです。
そしたら年配営業マンは顔を真っ赤にし「俺が異動・・・誰が営業やるんだ・・・俺がいなかったら仕事がなくなるぞ」と激しい口調で言ってくるのです。
また「第一、お前になんの権限があるんだ」と言ってきたのですが、
私は「あなたが会社を辞めても月100万、年にしたら1200万、5年で6000万、逆に資金繰りが良くなるし、誰も困らんよ」と数字を突き付けたのです。
その言葉を聞いた年配営業マンはB社長の所に行きましたが、1時間ほどもしないうちに、般若の顔をしながら社長室からでてきて荷物をまとめて会社を後にしたのです。
彼がいなくなって慌ただしく、営業マンに取引している元請にフォローさせました。甘い汁をすっていた取引先の一部は離れていきましたが、良心的な担当者は引き続き取引していただくことになったのです。
しかし、残った営業マンはルート営業しかしていないので売価は知っても原価は知らないのです。私はB社長にも営業同行をするようお願いをしたのです。はじめは嫌々でしたが、利益交渉や他品種な仕事も取らないと資金繰り的には厳しい話を散々してあったので、生産関係は弟の専務に任せ、B社長は営業マンになって行動してくれました。
営業に対して嫌々だったB社長は、悩みの種がさったのか顔色が良くなってきたの言うまではありません。