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経営者の優劣によって会社は潰れるのではない〝目標をもって行動するかしないかだけ・・・続き2

私は経営指導契約に基づき部下を引き連れて、5日間の診断調査を行ったのです。

社内の実態調査、各種アンケート、従業員面談など色々な角度で調査を行ったのです。

調査結果は当然問題点だらけで、いくらリスケ(リスケジュール)をしてもらっても、堀出社長が金融機関に事業計画書を提出した内容では計画通りにいかないのです。

幹部社員は全員7名、そのうち3名は1年~2年未満の異業種からの中途採用者なのです。

幹部社員達の意識は低く、営業する幹部社員は話やすい得意先にしか回らない、エリアマネージャーや各店舗の店長の指示はおろか教育すらしない。

工場長である武田氏は品質に問題があるのに改善の努力はしない、互いの連絡や相談すらないし幹部達はコミュニケーションをとらないやらで、各々が各々の力量と裁量で業務をまわしているのです。

極めつけはクレームが毎日と言うほど発生していても、誰ひとりとして処理することはなく、各店舗の店長や従業員が右往左往するだけなのです。このときばかりは堀出社長は大変だろうなと思っていた次第でした。

この調査結果をもとに、堀出社長をはじめ幹部社員及び金融機関に集まってもらい、報告会を実施したのですが、堀出社長はともかく幹部達は、詫びれるわけでもなくムスっとした顔つきで話を聞いていました。

堀出社長及び金融機関の担当者の前で指摘させて頂いたものですから、嫌な顔をするのは当然なことかもしれません。

報告会終了後に幹部社員達には集まってもらい、会社の現状や資金繰り及び業績についての説明したのです。幹部社員達の面談時には、業務の流れや組織中心のヒアリングだけだったので、改めて会社が置かれている現状の説明をしたのです。

幹部社員達は初めて聞くような話ばかりで戸惑っていたものの、幹部社員達に対して改善するのか、しないのかを問いただしたのですが、幹部社員の一人でも口を開くとすぐに互いに罵り合う状態でした。

その中で品質管理の幹部社員である吉澤氏から「川原さん、報告書通りの内容はここにいる全員わかったはず、確かに俺らに問題があることは分かった。ただし納得しないのは、堀出社長から我社にきてくれと言われた私までも悪いというのか」と意見をしてきたのです。

私は武田工場長がいるのに、その武田工場長を差し置いて吉澤氏が意見してきたのか、その時は分かりませんでしたが、私は吉澤氏に品質管理の意義と管理者とは何たるかを時間をかけ説明しました。

互いに言い合う場面がありましたが、最後は吉澤氏自身にも非があることを認め、謝罪の言葉をもらったのです。

その謝罪をきいた他の幹部社員も次々と自らの非を認めたのです。吉澤氏の言葉で他の幹部社員が非を認めることはよっぽど他を寄せつけないオーラを発していたのでしょう。

幹部社員達との打ち合わせが終わり、早々と赤字脱却の計画を作成したのですが、企業再生の手法は色々あって、この食品加工会社ではリストラをはじめ不採算店の撤去、資産売却など進めていく外科的手術を考えもしましたが、もう少し組織の力量を見なければ外科的手術したことによって、そのまま再生しない可能性が高いので、一度組織力を高めてから再度再生計画を練り直すことにしたのです。

報告会から1カ月後、各店舗の店長及び本部社員による1泊2日の合宿を行いました。

内容としては企業調査した報告や金融機関の取引状況など、ありのままの状況の説明をし、合宿が終わるころには参加者全員が涙を流し、再生しあうことを誓い合って終了しました。 また合宿での意思疎通とは別に、資金繰りをよくするため、直接原価の中に入っている材料費、外注費、各経費などの見直しをはじめ、幹部社員達の給料20%カットと賞与なし、各店長の給料10%カット、一般社員の給料5%のカットを行い、資金繰りからみた具体的な計画を立て行動に移させたのです。

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