
「利益が足りない。では売上を上げろ」——その判断が会社を壊す
経営者なら一度は考えたことがあるはずです。
「今期、利益があと1千万足りない。どうするか」
たとえば売上10億・利益率10%で利益1億の会社が、利益を1.1億にしたいとします。
多くの経営者が最初に考えるのは「売上を上げること」です。
売上を11億にすれば、利益率10%のままでも1.1億になる。
計算上は正しい。
しかし私は20年以上、3,000社の現場を歩いてきた経験から、はっきり言います。
組織の土台ができていない会社が売上を上げると、二度手間やミスやロスが増えて逆効果になります。
なぜか。
現場が混乱する。品質が落ちる。クレームが増える。社員が疲弊して辞めていく。
結果として、売上は上がったのに利益は減った——という最悪の事態が起きるのです。
これは理論ではありません。3,000社の現場で何度も目の当たりにしてきた、紛れもない現実です。
では、利益を増やすにはどうするのか
答えはシンプルです。
目標利益に足りないとき、問うべきは2つだけ。
問い①:売上を上げられるか?(今期中に・組織が機能する形で)
問い②:売上が上げられないなら、利益率を上げられるか?(コストを削れるか・無駄を省けるか)
売上10億のまま、コストを1千万削減できれば利益率は11%になり、目標の1.1億に届きます。
しかし、ここで次の問いが生まれます。
「利益率を上げるために、原価管理・工程管理を誰がやるのか」
利益率を上げるには「組織の仕組み」が必要になる
原価を管理する。工程の無駄をなくす。段取りを改善する。
これらは、社長一人が怒鳴り続けても絶対に実現しません。
現場のリーダー(管理職)が、数字を読み、自ら判断し、動く組織でなければ、利益率の改善は一時的なもので終わります。
そして管理職が機能するためには何が必要か。
① 共通目標:
「今月、何のために、何を達成するのか」全員が同じ方向を向いていること
② 意思疎通:
原価のズレ・現場のトラブルが社長にタイムリーに上がってくること
③ 意欲動機付け:
「自分の改善が会社の利益に繋がる」という実感が現場にあること
これが「組織の三要素」です。
この三要素が整って初めて、管理職は組織のPDCAを回し、現場は自走し、利益率の改善が「仕組み」として定着していくのです。
利益先行管理とは何か
ここで「利益先行管理」の話に戻ります。
通常の経理基準では、案件・工事・製造物が完成・引き渡しされて初めて売上・原価・利益が計上されます。
つまり現場がどれだけ動いていても、完成するまで帳簿上の利益はゼロ。一方で固定費は毎月確実に積み上がっていく。
結果として「月次試算表を見ても、今の会社の本当の状態がわからない」という状況が生まれます。
これは建設業だけの話ではありません。製造業・サービス業・あらゆる業種に共通する問題です。
利益先行管理では、予算(見積もり)が確定した段階で売上・原価・利益を仮勘定として先行計上します。管理する原価は、現場担当者が実際にコントロールできる直接原価(材料費・外注費・現場経費)に絞ります。
これにより、今期中に完成予定のすべての案件の利益見込みを今この瞬間に把握できます。
従来:「決算が終わってから今期の利益がわかる」→ 手を打てるのは、問題が起きた「後」
利益先行管理導入後:「今この瞬間の利益見込みがわかる」→ 赤字の芽を現場で今すぐ摘み取れる
そしてこの「今の数字」が見えるからこそ、冒頭の問いに戻ることができます。
「売上で取りに行くのか。利益率で取りに行くのか。今日決めて今日動く。」
教科書が教えてくれるのは「何をすべきか」。現場が教えてくれるのは「どの順番でやるべきか」
経営の理論は大切です。しかし理論が教えてくれるのは「何をすべきか」です。
現場が教えてくれるのは「どの順番でやるべきか」です。
この「順番」こそが、経営改善の成否を分けます。
私が3,000社の現場を歩いて確信したのは、利益先行管理で数字の問題を見える化したとき、その解決策は必ず「組織の土台」に行き着くということです。
数字の問題は、組織の問題。組織の問題を解決しない限り、数字は変わらない。
この「順番」に気づけるのは、現場で経営の痛みに触れ続けた人間だけです。
まとめ|利益が出る組織の全体像
利益先行管理で「今の数字」を見える化する
↓
目標利益に届かない原因が明確になる
↓
売上を上げる前に「組織の土台」を整える
↓
組織の三要素(共通目標・意思疎通・意欲動機付け)
↓
管理職がPDCAを回し始める
↓
原価管理・工程管理が現場で自走する
↓
社長がいなくても利益が守られる組織が完成する
これが、利益先行管理と「組織の土台」が一本の線で繋がる理由です。
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利益先行管理の導入は、単なる経理手法の変更ではありません。
「社長がいなくても、現場が利益を守り続ける組織」をつくるための、経営の土台づくりです。
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