昨年から、金融機関に関するセミナーをやってきました。
その中で「今後は、金融機関は融資ではなく、出資や投資して経営が悪くなったり、方向性がちがってくると、口は出すけど手は出さないが、今度は口も手も出しますよ」と言ってきました。
これが、5月の法案が可決されたのです。
5月19日、色々な法律が改正され、その中で、銀行法にも大きく改正されました。
長い名前ですが。
「新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済状況の変化に対応して金融機関の強化及び安定の確保を図るための銀行法の一部を改正する法律」
法律名としては、一見して新型コロナによって、中小企業の体力を支えるために、金融機関の資本体力を増強と安定させる法律のように思える。
最近、金融機関同士の合併を聞くことがあると思います。ニュースでみたのは、青森県内にあるみちのく銀行と青森銀行の経営統合(同一県内で地銀が一つになることは独禁法の規制があったが進む)福井銀行による福邦銀行の子会社化、筑波銀行とSBIホールディングスとの資本提携など。
確かに地方においては人口の減少やコロナ過によって、貸付した資金が未回収、低金利の貸付、金融機関の資本減少が目減りし金融機関としての機能がはたせなくなるのであるなら、金融機関同士統合して、企業を支えていくためには致し方ないでしょう。
この金融機関同士の再編を進めるために、国は銀行が統合して地域の経済基盤として支えていくのなら、システム統合費用などを交付金で負担すると決めたのだ。
ここまでなら、致し方ないと思わざる得ないのではあるが、ここから先は疑問である。
改正金融法には続きがある。
この部分だけ法律が変わったのなら納得しようにもあるが、なんと銀行業務の枠を規制緩和がされるのだ
〇 銀行本体
業務に、銀行業の経営資源を主として活用して営むデジタル化や地方創生などに資する業務を追加(アプリやITシステムの販売や、幅広いコンサル・マッチングなど)
〇 子会社・兄弟会社
テック企業に加え、新たに、地方創生などに資する業務を営む会社を子会社・兄弟会社に追加
〇 出資を通じてハンズオン支援の拡充
早期の経営改善、事業再生支援や、中小企業の新事業開拓の幅広い支援
〇海外で稼ぐ力の強化
買収した外国金機関の子会社などについて現地の競争上必要があれば継続的な保有を認めることを原則に
〇リース業や貸金業を主として営む外国会社について、迅速な買収を可能に
とあるが、一番疑問があるのが、出資を通じてハンズオン支援の拡充である。
簡単にいったら、今まで地銀は5%ルールの規制のもとで、非上場企業の株しか持てなかったものが100%持てるようになったのだ。
これは、外国の銀行が日本国内で銀行の免許があれば同じようなことを意味する
銀行がお金を融資するということではなく、出資するということはどういった意味なのか
配当をもらうということよりも、経営に参加するということなのである。
少しでも経営悪化をすれば、場合によっては100%の株を取得し経営権を掌握することもあり得るのだ。
経営者の中には、ありがたいと思っている方もいるかもしれません。
よく考えてください、金融機関に努めている方が、経営ができるでしょうか?
仮に経営をやったとして、上手くいかなかったらどうしますか?
もっといえば、金融機関の儲け方ってどうすれば儲かるでしょうか?
金融機関も株式会社です。当然利益を出さなくてはいけませんし、資金を集めなければいけません。
簡単に利益を出したり、資金を集める方法はM&Aしかないのです。
後継者がいなくてM&Aをするのは、そうだよねと思いますが、100%株式をもつという事は、後継者がいようがいなくてもM&Aができるということなのです。
また、外国の金融機関が国内に免許があればできるということなのです。
私の知り合いに金融機関に努める方と話をしました。金融法の改正によって、行員に社内面談をしているそうです。
何を面談しているのかと尋ねると「入社した際に金融機関としての説明や業務の話をしたのだが、今後は色々なことをやっていかなくてはいけない、業務と違うこともしていくので、それでも銀行に勤めることができるのかどうか」と言うことだそうです。
花形だった融資業務、今では平均5年ぐらいの行員が融資業務をしています。
若い方は融資をしたくて、入行したのに融資が出来ないのであれば退社の道を選ぶ人が増えています。
加速していく統廃合による金融機関、会社にプラスになるのかプラスにならないのか、我々自身、国や金融機関に対して注意深く見守っていき、自己防衛することが必衰になってきました。
私あは23年間、延べ3000社以上に渡り、色々な経営に携わってきました。今はでは名古屋に拠点に活動してます。
このコロナ過でも経営相談は承っています。 無料なのでどうぞご遠慮ください。