私は20年以上、延べ3000社の会社経営者が悩める問題を改善してきました。
上場企業から下は父ちゃん母ちゃんまで、経営者のお悩みを解決するため、具体的な策を講じ、売上に貢献する仕組みづくりをしてきました。会社によって大なり小なりのお悩みがあります。
売上を上げる事やPDCAが回らない、人が定着しないなど、色々あると思います。多くの問題点を改善するために、経営者が必ずすることは、人が動くための教育や制度(評価制度)などを導入するのです。
しかしどうでしょう。教育をしても制度構築(評価制度)を導入しても問題の改善はできるでしょうか?
間違っているのはここなのです。
教育や制度構築をする前に、なぜPDCAが回らないのか、組織の3原則である共通認識、共通目標、意欲動機付けが浸透しているかどうかなど、確認する必要があるのです。
退職していく社員の多くの意見は、やりがいを感じない、自己成長ができないという理由で去っていくのです。彼らは本音を言って退職していきません。最後まで気を使って退職するのです。
また、PDCAが回らない、組織の3原則が浸透しない理由はどこにあるのか。
経営者の目線で話をすれば、会議の中の報告、始末書、決算書、たまにみる社員の行動で社内の状況を判断すると思いますが、従業員からの目線で話すと経営者には見えない暗黙のルールがあるのです。
・どのようにしたら給料が上がるのか
・本音で言えない社風
・人によっては仕事の偏りがある
・上司が変わるたびに中途半端な人が後釜になる
・ミスを指摘されても指導がない
・管理者の責任と権限が不明確
・有給と代休の違いがわからない
・就業規則がいつの間にか変更になっている
・その他
いくらあげつらっても、人が入れ替わるたびに人間関係は希薄になり、業務内容の偏りによって、いつしか暗黙のルールが出来上がるのです。
この状態で社員教育や制度構築しても機能しないということは理解していただけたでしょうか?
ここにメスを入れなければ経営目標だの経営ビジョンなどを掲げても、絵に描いた餅にしかならないのです。
次に大事なことは幹部社員の教育です。会社の状況によっては名ばかりの管理者であったり、言葉がわるいですが、現場の延長線上にいる責任者だったりして、マネジメントするリーダーがいないのです。仮にリーダーがいたとしても役職者の肩書の意味、何をすべきなのか、その役割分担が分かっていないのです。
なぜそういったことが起こるのか、言えることは経営者との意思疎通ができていないのか、またはリーダーとしては未熟なのか、こればかりは幹部社員と面談して見ないと分りかねません。
とにかく、組織の中で一色単になっているリーダーを、現場のリーダーとマネジメントができるリーダーを明確に分ける必要があるのです。
最後のステップは採用戦略です。いくら社内にメスを入れ、リーダーを明確に分けたとはいえ、慣れてしまった環境で馴染んでしまった社員には梃子でも動かないことがあります。彼らを動かすのはたった一つ、人材の採用することです。
この繰り返しをすることで会社は成長し続けるのです。
今はコロナ禍で厳しい状況でしょうが、2018年~2019年はどうだったでしょうか?社会全体が景気に沸き、空前の人手不足でしたが、売上や利益が上がっても、これは会社が成長したのではなく、景気が会社を押し上げただけの事なのです。
なぜ、常に人手不足なのでしょうか? なぜ人は会社に定着しないのでしょうか?
これが答えなのです。
今迄の流れを項目ごとに分けると次のようになります。
①ステップ1
売上が良かろうと悪かろうと、会社の成長が止まった瞬間、組織は硬直し始めるのです。どこの会社もステージ1のままで止まっており、人が入れ替わることで組織力の低下、すなわち組織そのものが機能しておらず、会社によっては個人商店の集合体になっているこの部分の改善をしないといけないのです。
②ステップ2
組織力が回復しはじめると、やる人と既存の組織に馴れてしまった人が出てきます。ここではじめて現場のリーダーとマネジメントするリーダーに分け、賃金形態や採用戦略に特化しないといけません。
③ステップ3
組織が自走し始めると、始めのうちは会社の成長に感じる部分はありますが、経営者が明確なビジョンを立てる必要が出てきます。仮にそのまま放置してしまうと、成長しきったところで組織は硬直し始めるのです。ですから経営者は常に明確なビジョンを掲げなくてはいけなくなるのです。
この1から3のステップの流れができると、人が動き組織が自走し、会社は成長するはずです。なぜならそれで改善している会社があるからです。