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古参社員が動かない・変わらない。組織崩壊を防ぐ本音の対話原則

「先代からの古参社員が、自分のやり方に固執して動いてくれない」
「『先代の時はこうだった』と比較され、次の代としての経営がまともにできない」

2代目社長として会社を継いだ方から、このような切実なご相談を本当に、よくいただきます。
周りからは「社長なんだから強く言えばいいじゃないか」と言われますが、現実にそんな単純なものではありませんよね。先代への義理や情もあり、社内で孤立していく恐怖とも戦いながら、一人で胃を痛めている2代目社長の方がどれほど多いことか。

2代目社長と古参社員の確執、そして彼らが動かない問題。その解決の本質は、小手先のマネジメント手法ではありません。

私はこれまで多くの会社を見てきましたが、解決する方法はたった一つしかありません。

自分はまだ非力ではあるものの、このような会社経営をしていきたい、だから力を貸してほしいと、指示命令をする前に「本音で話す」ことが大事なのです。

なぜ、あなたの「本音」は古参社員に響かないのか
こう言うと、「いや、私はこれまでに何度も古参と本音の話し合いをしてきた!」と反論する2代目社長の方もみえるかもしれません。

古参社員の側には、「先代と一緒にこの会社をここまで大きくし、礎を築いてきた」という強烈な自負とプライドがあります。一方で、2代目社長からすれば「いくら言っても動かない、ルールを守らない、言っても聞かない」と悩むことになる。

この溝を埋めようと、本音で色々と話をした。なのに、なぜ彼らは変わろうとしないのか。

それは、あなたが「本音」で話しているつもりでも、相手にはあなたの「本気」が1ミリも伝わっていないからです。

胸に手を当てて、よく考えてみてください。
古参社員と向き合っているとき、あなたの頭の中に、こんなリスクへの恐れがよぎっていませんか?

「ここで古参社員を怒らせて、会社を辞められてしまったら困る」
「その社員が持っている得意先との関係性が切れて、売上が落ちたらどうしよう」

そう、あなたが言っている「本音」は、本当の本音ではないのです。
自分が困るから、結局は何も言えなくなる。リスクを考えて踏み込めない。そんな「保身」や「打算」を抱えたままでの話し合いなど、ただの綺麗事のパフォーマンスです。

古参社員は、何十年も現場の修羅場をくぐり抜けてきたプロです。2代目社長の心にある「嫌われたくない、辞められたら困る」という下心や、リスクを恐れる気持ちを、恐ろしいほどの直感で見抜いています。

「口先では熱いビジョンを語っているが、結局は俺たちに辞められたら困るから、本気でぶつかってくる覚悟はないんだな」

そう見透かされているからこそ、いくら言葉を重ねても相手は変わらないのです。古参社員が変わらないのは、彼らの頑固さのせいではありません。2代目社長である、あなた自身の「覚悟のなさ」が原因なのです。

経験も知識も乏しいのに、そんな透けて見える言葉だけで相手が変わるわけがありません。そこを棚に上げて、古参社員は変わらないと嘆くだけでは、何も始まりません。

実話:完璧だったバトンタッチの後に訪れた「沈黙」

ここで、私が実際に指導に入った、ある創業50年の製造加工会社の2代目社長の実話をお話しします。

その2代目社長は、会社を継ぐために、少し規模の大きい同業他社で数年間修行を積んだ後、父親である先代から「戻ってこい」と言われ、経営企画室長という肩書でみっちり経営を学んできました。資金管理、銀行との対話、自社株の譲渡にいたるまで、計画通りに完璧なバトンタッチが行われ、社長に就任したのです。

新社長となった2代目社長は、いつもの通り、先代からの古参幹部に指示を出していました。最初の数ヶ月は、それでも良かったのです。しかし、月日が経つにつれて、古参社員たちは一向に動かなくなっていきました。

そうこうしているうちに1年が過ぎ、「これではダメだ」と限界を迎えた社長から私にご相談をいただき、私はその会社に指導として入ることになりました。

「聞く耳を持たない」古参社員と、強引にこじ開けた扉
私が会社に入って最初に向き合ったのは、古参社員たちの強烈な拒絶でした。彼らと面談をしたいと言っても、まともに応じてくれる要素など微塵もありません。2代目社長がどこからか連れてきた外部の人間ですから、話を聞く耳を持とうとはしないのです。

そこで私は、生半可な方法では埒が明かないと判断し、強引なまでにある古参社員の一人を無理やり応接室へと連れ込みました。無理やり席に座らされた古参社員は激高しましたが、私は彼の目を真っすぐ見て、こう問い詰め、大前提を告げたのです。

「なぜ、私との面談を避けるんだ。私は2代目社長に呼ばれてここに来た。だが、だからといって、2代目社長の味方をするために来たわけではない。また、従業員の味方でもない。あくまで、2代目社長を含めた『全員が幸せにならないにいけない』からここにいる。だから、2代目社長でも問題があれば指摘し改善してもらうし、古参社員や幹部社員が問題であれば、同じく指摘し改善してもらう」

その言葉を聞いた瞬間、古参社員は落ち着きを取り戻し、ようやく対話のテーブルに着いてくれました。
そして私が「どうして社長の指示命令で動きが鈍くなったのか」と質問すると、堰を切ったように生々しい現場の本音が溢れ出てきたのです。

古参社員が明かした、2代目社長の「背伸び」
「日に日に、2代目社長の言動と態度が横柄になってきている。一言で言えば、背伸びをして社長になろうとしているんだ。本人は気づいていないだろうが、肩書に振り回されている。そのせいで、現場の部下からも苦情がきているんだ。
ご自身の右腕にしたい社員を探しているのか、あからさまに部下との会話や態度がちがう。それによって部下同士が混乱している。
もう一つは、仮に現場でクレームがあったとき、本人が加わりたいのかわからないが『ルールや決まりごとはどうなった、それに従って処理しろ』と口を挟む。結果、現場を無視した正論のせいで傷口が大きくなって、その後の後始末はとらない。いい迷惑だ」

古参社員たちが動かなかったのは、社長に反抗したかったからでも、会社を陥れようとしていたからでもありません。
肩書だけで指示命令を出し、裏にある自分のリスクへの恐れを隠して「背伸び」で現場をかき乱す2代目社長のやり方に対して、「これ以上、社長の思いつきに付き合っていられない」という無言の抗議だったのです。

「一人でやれるなら、今のやり方を貫けばいい」
この古参社員の痛烈な本音を聞いた後、私はすぐに2代目社長のもとへ向かい、すべてを話しました。
社長は初め、うだうだと弁明を言っていました。そんな2代目社長に対して、私は厳しい言葉を投げかけました。

「一人でやれるんだったら、今のあなたのやり方を貫けばいい。だけども、経験や知識も乏しい。しかし、やりたいことはある。外に目を向ける前に、やるべきことは一つでしょう」

「古参と本音で話し、『自分はこれからこのように変わっていくようにする。だから、この部分をどうか協力してください』と頭を下げて力を借りる。自分の都合で何も言えなくなるのをやめて、本気でぶつかる。そこから始めるしかないんです」

社長はハッとした表情を浮かべ、ようやく自分の「背伸び」と、心にあったリスクへの恐れに気づきました。

その後、2代目社長自らが古参社員と向き合い、指示命令や保身ではなく「自分の非力さを認め、目指すビジョンを語り、本気で助けを求める」という対話を重ねたことで、頑なだった古参社員たちの動きは劇的に変わり、組織は見事に再生へと向かっていきました。

今、古参社員との関係に悩んでいる2代目社長の方へ
古参社員が変わらないと嘆く前に、まずは己が変わること。
「辞められたら困る」「売上が落ちたらどうしよう」という社長自身の保身を捨て、一人の人間として、真剣に、本気で彼らと腹を割ってぶつかってみてください。道は必ず開けます。

もし、今まさに「社内で孤立している」「古参社員と本気で向き合えない」と一人で胃を痛めている2代目社長の方は、決して一人で抱え込まずに、ぜひ一度私にご相談ください。現場に入り、全員が幸せになるための本当の対話の場を、私が一緒に作ります。

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