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人手不足でも回っている会社と、崩れ始める会社の決定的な違い

人が足りない。これは今、多くの会社が抱えている現実だ。
求人を出しても応募が来ない。ようやく採用できても、すぐに辞める。残った社員に負担がかかり、また辞める。この悪循環から抜け出せない。
一方で、同じように人手不足でも、なぜか回っている会社がある。

その差は、どこにあるのか。工夫やノウハウの問題ではない

人手不足に悩む経営者は、まず「どう回すか」を考える。
残業を減らす工夫を考える。業務を効率化することを考える。システムを導入することを考える。外注を増やすことを考える。これらは間違いではない。
ただ、それでも崩れ始める会社がある。


名古屋のあるIT会社(従業員45名規模)では、人手不足を補うため、業務の効率化に取り組んだ。システムも入れた。手順も見直した。
しかし、逆に現場は回らなくなった。


なぜか。

社員の中には協力する者もいた。だが、実際に動く者はごくわずかだった。数日経てば元に戻る。人手不足を補うために取り組んだことが、逆に重荷になってしまった。
別の会社でも似たことが起きていた。


ある建設業では、社内に問題があるにもかかわらず、それを改善せずに効率化を進めた。その結果、誰が何を判断するかが曖昧になった。イレギュラーなことが起きると、誰も動けない。
結局、社長に確認が集中する。社長が判断のボトルネックになり、現場が止まる。
止まった現場で何が起きたか。


納期が遅れ始めた。原価管理ができなくなった。誰がどの仕事を抱えているか分からなくなり、現場の負荷が見えなくなった。人がいるのに、組織として機能していない。組織があっても、組織ではない状態になっていた。

判断が分散している会社、集中している会社

人手不足でも回っている会社には、共通点がある。
それは判断が分散していることだ。
「この範囲なら、この人が判断する」「ここまでは現場で決めていい」「社長の判断が必要なのは、この場合だけ」。そうした線引きが明確だ。
だから人が少なくても、現場は止まらない。社員が自分で判断し、動く。社長がいなくても、仕事は進む。

原価が膨らみそうなら、現場責任者が判断する。納期調整が必要なら、担当者が動く。トラブルが起きても、誰かが対応する。組織として、回っている。


一方で、崩れ始める会社では、すべての判断が社長に集まっている。
「社長に聞かないと分からない」「勝手に判断して怒られたくない」。社員はそう考え、確認に来る。社長は忙しくなり、判断が遅れる。
その間に原価は膨らむ。納期は遅れる。クレームが起きても、対応が後手に回る。
人はいる。でも、誰も判断しない。組織の形だけがあって、機能していない。

判断が曖昧な会社では、人を増やしても崩れる

人手不足を「人数の問題」として捉えている経営者は多い。
人が足りないから、採用する。人が辞めるから、また採用する。
しかし、判断基準が会社基準ではなく、個々の裁量に任せっぱなしであれば、人を増やしても崩れる。


名古屋のある卸売業(従業員50名規模)では、人手不足を解消するため、一気に5名を採用した。
しかし、半年後、現場はさらに混乱していた。
新しく入った社員も、既存の社員と同じように、すべて社長に確認する。判断が社長に集中し、社長は現場に出られなくなった。判断が遅れ、トラブルが増えた。
在庫管理が崩れた。発注ミスが増えた。お客様からのクレームが後を絶たなくなった。
人を増やしても、判断基準が曖昧なままでは、社長の負担は増えるだけだ。
そして組織は、人数だけ増えた「バラバラの集団」になる。

やり方を探していた自分が、ズレていた

「人手不足を、どう回すか」多くの経営者がこう考えている。
しかし、問題は「回し方」ではない。


会社としての判断基準は明確か。個々の裁量は明確か。役職の役割を明確にしているか。その構造が整っていないまま、やり方だけを変えても、現場は回らない。
人手不足でも回っている会社は、構造的に整えてから判断を分散させている。人手不足で崩れる会社は、構造を整えず、判断を社長が握ったままだ


その差は、工夫でもノウハウでもない。経営判断の置き場と構造にある。

「どう回すか」を探していた。
だが、本当に問うべきはそこではなかった。

判断は、誰の手に置かれているのか。
そしてその判断は、社長がいなくても機能する構造になっているのか。

人手不足でも回っている会社は、やり方が違うのではない。
判断の置き場が、最初から違っている。

もし今、
「社長がいないと止まる」
「確認が集中している」
「人を増やすほど自分が苦しくなる」
そう感じているなら、問題は人数ではない。組織の構造そのものが、限界に来ている。

この停滞は、制度や現場の努力だけでは解決しない。
背景には、経営そのものを支える「考え方の軸」の問題がある。

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