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なぜ人を入れても戦力にならないのか ――作業は教えているのに、組織が育たない会社の共通点

人は入った。手順は教えた。それでも聞いてくる。

経営者はこう感じている。「何度も同じことを聞いてくる」「ちょっとイレギュラーなことがあると、すぐに確認に来る」「結局、自分が判断している」採用はできている。離職率が極端に高いわけでもない。なのに、現場から離れられない。社長が判断しなければ、仕事が止まる。

これは何が原因なのか。

能力の問題ではない
多くの経営者は「うちの社員は考える力が足りない」と感じている。しかし、それは違う。
若手の意識が低いわけでもない。教え方が下手なわけでもない。
問題は、会社が「作業」と「仕事」を混同していることにある。
作業は教えている。手順を説明し、やり方を見せ、現場で実践させている。にもかかわらず、社員は応用が効かない。想定外のことが起きると、手が止まる。
それは当然だ。なぜなら、会社は「作業」しか教えていないからだ。

作業を教えても、仕事は育たない
作業とは、手順の再現だ。「このボタンを押す」「この書類をこの順番で処理する」「お客様にこう説明する」。これらは、やり方を覚えれば誰でもできる。
しかし、仕事はそれだけでは成立しない。
仕事には、判断と責任が伴う。「このお客様にはどう対応すべきか」「この状況では何を優先すべきか」「ここで判断を誤ったら、何が起きるか」。こうした判断ができなければ、仕事を任せたことにはならない。
多くの会社は、作業の手順は教えている。しかし、判断基準は教えていない。分からなくなったら聞いて、と言っているだけだ。
だから社員は、マニュアルにないことが起きると動けなくなる。だから毎回、社長に確認が来る。だから結局、社長が判断している。
これは育成の問題ではない。経営の構造の問題だ。
判断基準がない組織では、人は育たない
名古屋の建設業(従業員55名規模)を見てきた中で、こんな会社があった。
社員に「納期が間に合わない時、どう判断するか」と聞くと、全員が「社長に聞く」と答えた。
その会社には、納期を守るというものがなかった。お客様ごとの重要度、納期遅れの許容範囲、どこまでコストをかけていいか。すべて社長の頭の中にしかなかった。
だから社員は、判断できない。判断しようがない。
作業を覚えても、判断基準がなければ応用は効かない。何年経っても、指示待ちは減らない。

任せていない限り、組織は育たない
人が育たない会社は、人を「使っている」だけだ。
社員に任せているつもりでも、実際には作業を振っているに過ぎない。判断は社長が握ったまま、手足だけ動かしてもらっている。
それでは組織は大きくならない。
社長がすべての判断をしている限り、組織は社長の処理能力を超えられない。売上を伸ばしたくても、人を増やしても、社長が判断のボトルネックになる。
人が戦力にならないのは、能力が足りないからではない。会社が「判断基準」を渡していないからだ。
手順書を作る前に、やるべきことがある。それに気づかない限り、どれだけ人を増やしても、社長の孤独な夜は終わらない。

この問題は、採用や育成の話だけでは終わらない。なぜ多くの会社で「判断基準」が共有されず、
社長だけが決断を抱え込む構造が生まれるのか。

その背景にあるのは、経営者がどんな考え方で会社を動かしているか、という問題だ。

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